-2つの融合が生み出す次なるディスプレイ広告の時代-

 

前編ではダイナミックリターゲティング広告の特徴や課題を例に挙げ、広告クリエイティブの進化の必要性についてご紹介いたしました。ユーザーがサイト上で見た商品を動的に表示させるダイナミックリターゲティング広告は、そのパワフルな自動化機能がゆえに、ユーザーが購入するまで追いかける「しつこい広告」になる危険性があり、また最後に見た商品=最も価値のある広告とは言いにくいといえます。ではこうしたクリエイティブ上の課題を乗り越えるにはどうしたらいいのでしょうか?

 

それを解くカギが、プログラマティッククリエイティブという概念です。

 

これは去年末頃から海外のニュースサイトやブログを中心に度々取り上げられている概念です。昨年ExchangeWireにて、FlashtalkingのUKカントリーディレクターであるMartin Pavey氏が、消費者を理解しエンゲージメントを高めるためにはデータとクリエイティブの発展の必要性を説いており、また同様に、AffectvのFounder & CEOであるGlen Calvert氏はは、Econsultancyにて2016年はプログラマティックテクノロジーとクリエイティブの融合<プログラマティッククリエイティブ>が広告業界に次世代の革新を起こすと述べています。

 

さて、そのプログラマティッククリエイティブとは一体何なのでしょうか?

それは見たユーザーの「今、一番欲しい」を叶える広告です。

 

人が欲しいと思うモノは様々な条件で変化します。それは性別や年齢などのユーザー属性によっても変わるでしょうし、朝か夜か、食事前か食事後か、あるいは自宅にいるのか、外で買い物をしているかといったその時の状況でも変わると言えるでしょう。このような膨大なデータを活用し、ユーザー一人一人とのコミュニケーションを広告として表示すること。それがプログラマティッククリエイティブです。

 

ただし、ただ単純にそれを機械的に配信することだけが最適なクリエイティブではありません。見たユーザーの「今、一番欲しい」という感情が様々なデータと連動してクリエイティブ上で表現されている必要があります。

 

「今、一番欲しい」を叶える広告

例えば、あるクーポンサイトのキャンペーンで、ターゲットユーザー層が”今、東京23区内にいる男性”だったとしたら、それに該当するユーザーに、都内限定の男性向けクーポン情報を広告として表示します。これは「今すぐその場で使えるクーポン」を演出することによる「今、一番欲しい」を喚起する提案です。

 

またあるアパレルサイトの特設キャンペーンでは、キャンペーンの終了時間が深夜23:59の場合、昼の時間帯には人気商品の在庫状況や価格、夜の時間帯にはキャンペーンの終了時間とそのユーザーが過去に何度も見た未購入の商品を表示し、「今買わなきゃ損」と訴えかけます。

 

このデータとクリエイティブの融合は、既存の広告のゲームチェンジャーとなる力を秘めています。ユーザー属性、環境、季節や時間帯などを活用する機械学習的なアプローチと、それをメッセージとして人間の五感にダイレクトに訴えかけるアプローチは、「しつこい」「いらない」といった広告のネガティブサイドを、「最適なメッセージを最適なユーザーに最適なタイミングで届けて購買に繋げる」というポジティブな方向へと転換し、広告本来の手法をディスプレイ広告上で実現することが出来るようになるでしょう。

 

AdRollではこのようなより多くのデータを活用したユーザーターゲティングと、より質の高いクリエイティブによる広告配信を推進しています。特に新規ユーザー獲得のための拡張配信(AdRollではAdRoll Prospectingと呼んでいます)におけるクリエイティブの質は、リターゲティング広告に比べ大きな影響力を持っています。まだサイトを訪れたことがないユーザーに対して、そのサイトに行ってみたいという気持ちの働きかけをするのは、接点となるそのサイトのクリエイティブと言っても過言ではありません。プログラマティックとクリエイティブ融合への第一歩は、まずユーザーの心を掴むクリエイティブを届けることです。
プログラマティックテクノロジーは昨今、格段に進化を遂げています。しかし、クリエイティブ分野に注目して議論を進めると、このようにまだまだ発展途上な要素は多いと言えます。今後はプログラマティッククリエイティブに代表される、ユーザーの「今、一番欲しい」を広告として配信し、広告主を守りながらユーザーの購入体験を高めることが価値となる時代になっていくはずです。